Pacific Music Festival 2009
パシフィック・ミュージック・フェスティヴァル。
1990年に第1回が開かれて以来、回を重ね、今年は第20回を迎えました。
20世紀を代表する指揮者、レナード・バーンスタインの提唱により創設された国際教育音楽祭、それがパシフィック・ミュージック・フェスティヴァルです。
世界中から音楽を学ぶ若人たちが、オーディションを経て、アカデミー生として北の大地、札幌に集い、その年の芸術監督の下、ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、その他世界的に活躍する音楽家を先生に1ヶ月室内楽、オーケストラでの演奏などを学びます。
途中、北海道の各都市で演奏会が開かれたり、リハーサルの様子が公開されたり、盛りだくさんなイベントが続きます。
教授陣の演奏会もあり、東京では7月13日に紀尾井ホールで、ウィーン・フィルのメンバーによる「PMFウィーン」の演奏会がありました。
有難いことに、ご縁があって、毎年この演奏会にはお招きいただいています。
今年はウィーンからヴァイオリンのヴェルナー・ヒンクさん、フーベルト・クロイザマーさん、ヴィオラのハンス・ペーター・オクセンホーファーさん、チェロのフリッツ・ドレシャルさん、コントラバスのミヒャエル・ブラーデラーさん、クラリネットのペーター・シュミードルさん、ファゴットのシュテパン・トゥルノヒスキーさん、ホルンのロナルド・ヤネツィックさんが来日。
ビロードのようなやわらかい音色の演奏を今年も聴かせてくれました。
そして、昨日。。。
このフェスティヴァルの集大成、オーケストラの演奏会がサントリーホールでありました。
夏の夕方・・・
これから始まる素晴らしい時間を予感させるような、カラヤン広場の景色。。。
さあ、夢時間への扉が開きます♪
今年の芸術監督でオケの指揮者は、マイケル・ティルソン・トーマス。
サンフランシスコ交響楽団の音楽監督を務めている、愛称は「MTT」。
彼は、このフェスティヴァルの記念すべき第1回目から2000年まで芸術監督を務めました。
9年ぶりにPMFへ帰ってきたMTT♪
♪シンフォニック・ブラスのためのストリート・ソング ティルソン・トーマス
♪交響曲第5番 嬰ハ短調 マーラー
が昨夜の演奏曲。
休憩後のマーラーのすばらしかったこと!
特にトランペットとホルンのトップの女性二人、この二人の演奏なくしてこの曲の演奏の素晴らしさはなかった、と言っても過言ではありません。
演奏終了後、MTTが彼女たちに特別に拍手を送っていました。
一昨年、芸術監督は、リッカルド・ムーティで、そのときのアカデミー生たちは、こんなに幸福な1ヶ月はなかった、と全員が言っていたそうですが、今年のアカデミー生たちにとっても忘れられない夏になったことは間違いありません。
素晴らしい演奏会でした。
ここに集った若い演奏家たちが、その音楽人生において、この夜の演奏をいつも懐かしく思ってくれたら、この音楽祭を提唱した天国のバーンスタインも、設立当時から関わってきた裏方の方たちもどれだけ嬉しく思うことでしょう。
素晴らしい演奏の余韻を心にホールを出ようとする私たちの目には、いつもこの大理石壁画が・・・
宇治山哲平さんがお亡くなりになる直前に完成した壁画、「響」です。
宇治山さんは大分県日田市が生んだ、抽象画の世界的巨匠です。
日田市には没後に宇治山さんの記念美術館が出来ましたが、残念なことに平成16年12月、資金難をもって閉館となりました。
心ある方は多くいらっしゃるのに、資金難で閉館を余儀なくされたということに、日田はとてもよいところだと聞いていますが、自治体トップがしっかりしていないのだなぁ、と残念に思います。
サントリーホールへいらしたら、正面玄関の壁にある、この宇治山哲平さんの大理石壁画をご覧になってみて下さいね。
音楽の響きと大理石の響きが重なり合って、きっとその響きはより美しく・・・